『桜沢さん、ちょっと今イイ？』

連絡があり、大慌てで営業室に行ってみると
課長が何かの書類と睨めっこしていました。

『かかかかかちょう、なにか！？』

緊張すると吃音が出ます.....
そう言えば、去年ボーナスを頂いた時も
こんなカンジでした（笑）
　
『悪いね、コレ見て欲しいんだけど...』
　
課長が見せて下さったのは
G長が作った来年度1年分の予算割りでした。

『5月がもの凄いコトになってるの解る？』

『（サラリとさらいつつ）......あぁ〜ホントだ。スゴいですねぇ』

『なんで？』

『ハリーポッターの新刊が出るからじゃないですか？』

『あ、なるほどね....でも、こんなに行くの？』

『（こんなに？）に.........200万オーバー！？』

『ハリーポッターって幾らぐらいするの？』

『次回作は4000円くらいですけど〜』

『と言うコトは.....500冊？』

『そうですね、500セットですねぇ』

『そんなに売れるの？』

『...............無理です〜（にっこり）
　発売日が伸びる可能性もありますし
　縦しんば発売されたとしても
　競合店に持ってかれますよ
　例えば、その日だけオープンを8時にするとかなら
　話しは別だと思いますけど.....』

『じゃあ、この10月は？何で？』

『うぅ！？（首を傾げつつ）........解りません』

『（笑）今年の10月に大分売り上げ上がってるんだけど...』

『隣駅の本屋が軒並み潰れましたからね〜
　その影響だと思います。
　今後は、新しい本屋が出来て
　売り上げが下がることはあるでしょうけど
　コレ以上収益が上がるコトは考えられないです。
　良くてトントンじゃないでしょうか？』

『そうだよねぇ.....
　もう一度作りなおさせるか〜』

『そうですね〜...その方が.....。』
　
　
　
因に一昨年の9月に発売された
『ハリーポッターと不死鳥の騎士団』
こちらは約200セット程の販売でした
.......100万行ってないんですよ。

ちょうどその頃は
まだ前任のカレー店長が活躍していた頃だったので
今のG長は別の店に居られて
一切書籍に関しては
全く知識のない様な状態だったのですが
流石に『異常値』を叩き出すのは明白な訳ですから
出来ればデータの確認位してから
予算割り出して欲しかったです.....。
　
　
　
ってゆ〜か
何故一介の時給労働者が
ココまでのさばっていられるのかが、かなり謎です。

.....だから女王様って言われちゃう。

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